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経営コンサルタント
藤木 清次(ふじき きよつぐ)
経営心学(実践哲学)
私たちは、大会社の社長といえども突然、解任される、生き馬の目を抜くような世界で、
日々、パンを得るために働いています。
同時に、心のよりどころである、哲学や宗教を求めます。
(『ブッタのことばースッタニパーター』でいえば「こよなき幸せ」(岩波文庫)です。)
パンを得るための知が、経営の知です。
経営と哲学は、表裏一体、両者相まって、人々は生き、事業は生成していますので、
経営のあり方は、経営者の哲学にかかっています。
哲学堂の四聖は、釈迦、孔子、ソクラテス、カント、です。
釈迦は、ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも
汚れた心で話したり行ったりするならば、苦しみはその人につき従う
(『真理のことば』)と述べました。
孔子は、人に信なくんばどこにも使いみちがなくなる。馬車に轅(ながえ)がなく、
大八車に梶棒がないようなもので、ひっぱって行きようがない(宮崎市定
『論語の新研究』)と述べました。
ソクラテスは、最大の賢者は例えばソクラテスの如く、自分の知恵は実際何の価値も
ないものと悟った者である(『ソクラテスの弁明』)と述べました。
カントは、新たな感嘆と畏敬の念とをもって我々の心を余すところなく充足する、すな
わち私の上なる星をちりばめた空と私のうちなる道徳的法則である(『実践
理性批判』)と述べ、最後の著作『人間学』では「人間こそは人間そのものの
究極なる目的である」 (序言、坂田徳男訳)と書き残しました。
哲学は、つまるところ人間の学です。
洋の東西を問わず、経営も、人間の学であり、人格・人徳の問題です。
人格・人徳の問題とは、誰の心にもある、善と悪、福と禍、寛容と不寛容、楽観と悲観
など、二者相含の、心の戦いのことです。
とはいえ、人格・人徳は、古色蒼然とした言葉ですので、まじめに考えるのは時代遅れ
であるかのように思われるかもしれません。
しかし、今を生きる私たちの社会の根っこにある普遍的な問題です。
戦争、地球温暖化、経済格差、不正、贈収賄、粉飾、詐欺、暴力、ハラスメント、等々
が、日々、報道されています。
2024年10月10日、ノーベル文学賞が韓国の作家ハン・ガンさんに授与されまし
た。ハン・ガンさんは暴力性と他者への愛という人間の二面性を描いて国際的に高く
評価されていました。
翌10月11日、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に、ノーベル平和賞が
授与されました。受賞理由は「核兵器の使用は道徳的に容認できないという協力な国際
規範が形成されていった。」ことです。
私たちは、人間の二面性(矛盾)、社会の矛盾(戦争と平和)のなかで、生きています。
矛盾すなわち真理なり、です。
いま、市民社会のモラル、人格・人徳を修養する機会が失われています。
法に違反しなければ、何をやっても自由だ。法律に違反してもバレなければよい。
法律の抜け穴をさがすのが賢い人、という風潮があります。
また、法律も条文とその運用が、乖離しています。
日本国の最高法規(第97条)である、憲法でいえば(価値判断を含まず)
第9条では「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と定めますが、
国家の自衛権を根拠に戦力を有し、集団的自衛権、敵基地攻撃
能力(反撃能力)の保有も認めています。
第24条では「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と定めますが、
同性婚が事実上、認められています。
(他、省略)
法的正義の限界です。
社会での地位・資格・名誉と、人格・人徳は、次元の異なる問題です。
偽善政治家、悪徳弁護士、強欲経営者、背徳教育者たちが跳梁跋扈する社会は、平和・
安心・幸福な社会とは言えません。
民信無くば立たず。人の道が、経営の道です。
大企業だから安心、小企業だから不安、ではなく、
広告が多いから、少ないから、ではなく、
心から信用できるところから、商品やサービスを、購入したいと思います。
近代会計学の父と呼ばれるイタリアの数学者 ルカ・パチョーリ(1445年ー1517年)は
「法学博士を育てるより よき商人をつくるほうがむずかしい。」「共和国に必要なのは、
教育水準が高く、己を律することができ、高い職業倫理を備えた商人である」(ジェイ
コブ・ソール著 村井章子訳『帳簿の世界史』文芸春秋、2015年)と述べました。
職業倫理は、他者に強制されることではありません。
どうすれば、自分の志を実現するに値する、日々が送れるようになるのか、
仕事の、人生のよりどころが、職業倫理であり、フィロソフイです。
事業のリーダー(経営者)は、業績を上げることで評価されます。
同時に、社会のリーダーは、リーダー自身の思想の豊かさが求められます。
なぜなら、浅薄なリーダーには、リスペクトの気持ちが生まれないからです。
経営の知には、経営技法と、経営心学の二面があります。
経営技法は、戦略論から販売、生産、人事、財務などの、大学で教えている専門知識
や専門的技法のこと、手段の知です。
経営心学は、応用哲学であり、モラル・フィロソフイのこと、目的の知です。
事業は、経営者の判断によって、成功したり、衰退したりします。
それゆえ、事業経営は、必然的にワンマン経営となり、ワンマン経営では、経営者の
人格・人徳が、経営者の使命(moral philosophy)となって、事業の指導理念となり
ます。
事業の、理念、社是、戦略、方針、計画、教育、財務諸表は、経営の人格・人徳の
表出です。
事業は情熱だけだは成功しません。成功を収めるには、人並外れた何らかの才能(商才)
と、正しい人生観、経営観(経営心学)が要求されます。
経営のあるべき姿をめざして、日々修養に務めております。
実践の理論化(出版)
『井上円了の哲学から経営知を語る』
2023年2月、増刷されました。
増刷(第二刷)にあわせて誤字を直し、表記をいくつかわかりやすく
しました。初版をお読みただきました方にはお詫びいたします。
〔書店〕
・丸善 丸の内本店 3階「日本思想」
・ジュンク堂 池袋本店 5階「古典に学ぶビジネス」
〔図書館蔵〕
国立国会図書館、東京都立図書館、中野区立図書館、
新潟県立図書館、長岡市立図書館、他。
東洋大学図書館、明治大学図書館、城西大学図書館、
慶応義塾大学図書館、新潟経営大学図書館、他。
『論集 井上円了』東洋大学 井上円了研究センター編、
教育評論社、 2019年(平成31年)3月発行
井上円了博士の没後100年を記念して編集されました。
【藤木清次執筆】
「井上円了と経営哲学-哲学的祈り-」
『経営士学-経営コンサルタント経営学-』
合同会社経営士東京、2012年7月発行
藤木清次執筆
経営士学の提唱から60年目という節目の年に発行しました。
水野 勝先生古希記念論集
『労働保護法の再生』
信山社
2005年(平成17年)11月発行
【藤木清次執筆】
バーンアウトと業務上外認定の法理
故水野 勝先生(東洋大学名誉教授)
には、東洋大学法学部、
東洋大学大学院法学研究科
博士前期過程、 博士後期過程を
通して、 ご指導いただきました。
深く感謝しております。
『交渉ハンドブック』日本交渉学会編
東洋経済新報社、2003年発行
【藤木清次執筆】
アウトソーシング
中小企業経営者と交渉
年俸制と交渉
弱者のための交渉